私たちがMADE IN JAPANに込めた想い──vol.1 廃棄される果皮から香りを抽出「徳島のすだち」

日本仕様の純度が高いCBDと、日本各地の原材料や技術を掛け合わせ、すべての製品を日本で生産しているCBDブランド「CBDAYS MOMENT」。なぜメイド・イン・ジャパンにこだわり、どのようにして原材料や生産者と出会い、プロダクトが生みだされたのでしょうか? 開発責任者の河野智史さん(株式会社qols)、プロデューサーの杉谷惠美さん(ビーバイ・イー代表)、ブランディングを手掛ける中原真理さん(柴田陽子事務所)にCBDAYSのサスティナブルな製品開発のストーリーを語っていただきます。(取材・文:CBDAYS JOURNAL編集部)

日本の日常に溶け込んでほしいから、安心安全を約束。

──CBDAYS MOMENTはなぜメイド・イン・ジャパンにこだわって開発されたのでしょうか?

河野:欧米では健康成分としてポピュラーなCBDですが、日本ではヘンプ由来という点に対し、まだまだネガティブなイメージがあると感じます。そうした誤解や偏見を解き、多くの方に安心してCBDを摂り入れていただきたいという思いから、日本での生産にこだわりました。CBDはオレゴンの自社提携農場で栽培された原材料を使用していますが、トレーサビリティを徹底して日本仕様に加工し、安全性を確保しています。

杉谷:CBDはこんなに心と体を健やかにするものなのに、日本では「興味はあるけれどなかなか手が出ない」という方がとても多いです。それは本当にもったいないことだと思います。

中原:一部の人だけが知るマニアックでディープな世界ではなく、多くの人の日常生活に溶け込んで、たくさんの人をレスキューする存在になってほしいですよね。

杉谷:本当にそう思います。より多くの方に安心して日常的に使っていただきたいから、国産であることに加え、オーガニック認証にもこだわりました。CBDロールオンオイルはオーガニックの世界基準である「COSMOS Organic認証」※1、CBDボディバームは「COSMOS Natural認証」※1、CBDドロップオイルは「有機JAS」※2の格付けを取得しています。

※1 COSMOS(コスモス)認証とは
COSMetics Organic Standardの略オーガニック先進国であるヨーロッパの認証団体のうち、フランス・ECOCERT、フランス・COSMEBIO、ドイツ・BDIH、イタリア・ICEA、イギリス・英国土壌協会の5団体が参加する世界統一オーガニック認証機関。2010年に統一基準「COSMOS」認証を策定、2017年1月基準統一に完全移行。COSMOS基準には「COSMOS Organic」「COSMOS Natural」2種類の認定基準があり、取得がより困難なのは、「COSMOS Organic」となっている。

【COSMOS Organic基準】一部抜粋
・コスモス基準が定める原料を使用する
・オーガニック原料を20%以上配合
・農産物原料の95%以上はオーガニック原料とする

※2 有機JAS認証とは
生産者が有機の基準に基づいて生産したものであることを第三者機関が証明する日本の認証。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品を表しており、農産物、加工食品、飼料及び畜産物に付けられる。有機JASマークが付いた食品だけが「有機」や「オーガニック」と表示できる。

中原:現在、COSMOS認証を取得している日本のCBDブランドはCBDAYS MOMENTだけだと思います。

杉谷:COSMOS認証を取得するのは、かなり難しいんです。原料一つひとつの規格が細かく決まっていて、すべての基準をクリアするのは本当に大変で……。

中原:日本のオーガニックコスメの先駆者である杉谷さんに関わってもらえてなかったら認証の取得はできなかったと思います。各地の生産者さんや提携工場の方たちにも骨を折っていただき、ありがたい限りです。

土地に根ざした植物を使い、社会課題解決の糸口に。

──徳島県のすだちや佐賀県の唐津・加唐島(かからしま)の椿油など、日本各地の植物を原材料として使っている点も特徴的です。

河野:これは杉谷さんが提案してくれました。株式会社qolsの拠点がある徳島や、提携工場のある佐賀・唐津など、CBDAYS MOMENTにゆかりのある土地に根ざした植物を使っています。

杉谷:私はこれまでさまざまなオーガニック&ナチュラル製品を開発した経験から、「日本人の心と体には日本の土で育ったものがいちばん合う」と考えています。素晴らしい原材料との出会いを求めて全国各地の畑を訪れていますが、そこで農業や地域の課題に直面することも多く、オーガニック製品が社会課題解決の糸口の一つになれば良いなという思いもあるんです。日本だとオーガニック製品を選ぶ理由の上位は「肌に良いから」「安心安全だから」ですが、ドイツなどのオーガニック先進国では「社会に貢献したいから」という理由で選ばれています。日本でも最近少しずつ「サスティナブル」や「持続可能性」などの言葉が浸透してきましたが、社会や環境に配慮することが当たり前の時代になってほしいですし、オーガニック製品の世界から、その「うねり」を起こせたらと思っています。

──日本の農業や地域の課題には具体的にどのようなものがありますか?

杉谷:「フードロス」とも言われていますが、未使用・未利用の資源があまりにも多いと思います。先日、あるみかん農家さんを訪れた時も驚いたことがありました。みかんの栽培では果実の糖度を上げるために「摘果」、すなわち間引きをするのですが、その間引き量が一つの農家さんだけで10万トン以上もあると言うんです。摘果された中の一部はジュースなどに加工して再利用されますが、ほとんどは廃棄されてしまいます。「無農薬」や「オーガニック」という言葉の裏側で、たくさんの未利用資源が捨てられている……そうしたちぐはぐなことが現実に起きているんです。

中原:これも杉谷さんが各地の畑に足を運んでいるからこそわかることですよね。私たちもCBDAYS MOMENTの開発をきっかけにさまざまな地域課題について知り、考えさせられることばかりです。

杉谷:過疎化による後継者不足も深刻ですね。農業はあまり利益が出ないので、息子や娘がいたとしても後継者にしないことも多いですし、農業をやりたいという若い人たちもまだまだ少なく、耕作放棄地は増える一方。私たちの活動だけでどうにかなる問題ではないですが、CBDAYS MOMENTの製品開発が、「自分には何ができるだろう」と皆さんが考えるきっかけにつながったらうれしいです。

丹精込めて育てられた柑橘を、無駄なく活かしきる。

──CBDAYS MOMENTの「POSITIVE FLOW」には、廃棄されてしまっていたすだちの果皮から抽出した精油が使われていますが、これは地域資源を無駄なく使い切るためなのですね。

杉谷:そうです。すだちもみかんと同じように栽培時に摘果されますし、ポン酢などの加工品を作る工程でたくさんの果皮が廃棄されてしまいます。しかし、その廃棄されてしまう果皮を水蒸気で蒸留・抽出すると、香り豊かな精油が作れるんです。農家さんが丹精込めて育てた農産物を余すことなく使えるのが、オーガニックコスメの良いところだと思います。

河野:私の故郷でもある徳島県は国産すだちの生産量の98%を占める名産地です。畑も加工場もいたるところにありますし、近所の農家さんからお裾分けをいただくことも多く、小さい頃から食卓にはいつもすだちがありました。愛着のある地域資源を無駄なく活かしきりたい。そうした思いもあり、各地の加工場から副産物として出る果皮を譲っていただき、精油として再利用しています。地域に貢献できるのはとてもうれしいですね。

──「ULTIMATE30」で使われているのは、徳島県産のゆずの果皮から抽出された精油です。

河野:全国屈指のゆずの産地として知られる徳島県の旧木頭村(きとうそん)(現在の那賀町(なかちょう)木頭地区)のゆずの果皮を使っています。旧木頭村は「四国のチベット」とも呼ばれる山あいの秘境で、秋になると一面がゆずの黄金色に染まる、とても美しいところです。ただ、手付かずの自然が残る一方、過疎化が進んでいるのも現実で……。地域の雇用を創出しようと地元の人たちが立ち上げたのが農地所有適格法人「黄金の村」です。ここは農薬・化学肥料不使用で木頭ゆずを育て、さまざまな商品に加工して販売している、小さいけれどエネルギッシュな会社です。同じ徳島ということで今回ご縁がつながって、商品を作る際に副産物として出るゆずの皮を砕いて水蒸気蒸留抽出した精油を使わせていただけることになりました。

ものづくりの背景にある、地域の魅力や課題を知ってほしい。

───CBDAYS MOMENTの製品は、地域の資源や人との出会いから生まれているんですね。

河野:どの地域の方々も私たちを温かく受け入れてくださり、ものづくりに対しても誠実かつ協力的で、本当にありがたく思っています。CBDに対しても偏見や誤解を持つことなく、むしろ、こうしたサスティナブルでウェルネスなものづくりに携われることに誇りを感じていただけているんです。「どんどん活動してCBDを日本に広めていって」と激励してくださる方もいて、力が湧いてきますね。ものを作る以上、効率や利益も考えなければなりませんが、お金になる・ならないを超えた、人や地域との豊かなつながりを実感していますし、これからも大切にしていきたいです。

杉谷:そうですね。CBDAYS MOMENTのユーザーのみなさんには、こうしたものづくりの背景にも目を向けていただき、地域の魅力や課題を少しでも知っていただけたらと思います。そして、このプロダクトが自身の心と体を整えるものだけでなく、日本の自然や伝統産業を守ることにも役立っている……そんなふうに思いをはせながら使っていただけたらうれしいですね。