天然由来のCBDで心身を整えるライフスタイルを提案したい

コロナ禍によって不安やストレスが強まる中、CBDのリラックス効果が注目を集めています。CBDとは、ヘンプ(麻)に含まれる天然由来の健康成分。神経を落ち着かせたり、痛みが和らいだりといった効果が報告されています。CBDブランド「CBDAYS」を立ち上げた株式会社qols代表の堀金建吾さんは、原材料の栽培から商品の開発・製造まで手がけ、「安全で体にやさしいCBD製品を提供したい」と語ります。(取材・文:CBDAYS JOURNAL編集部)

堀金建吾(ほりかね・けんご)
株式会社qols 代表取締役
大学卒業後、地元・徳島の銀行に就職。25歳で独立することを目標に不動産会社に転職。2007年に独立し、株式会社ピースリビングを設立。2016年、企業信頼度と知名度向上のために東京証券取引所TOKYO PRO Marketに株式上場。2018年、内部体制強化のために上場を廃止。新たな活躍の場を国内だけではなく海外にも向け、現在はアメリカ合衆国ロサンゼルスを拠点に、飲食事業や音楽事業など多くの事業を展開中。

アメリカやヨーロッパではCBDが生活に根付いていた

─── CBDブランドを立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。

堀金:もともとは銀行員だったのですが、26歳から地元の徳島県で不動産業に携わるようになりました。28歳からは、不動産業の枠を越えてさまざまなビジネスを始めまして、36歳の時、経営していた会社を東京プロマーケットに上場させました。ただ、上場とは言っても地方の小さな会社です。頑張ってはいたんですが、限界を感じまして。しばらく自由に世界を見て回ることにしたんです。

2018年から2019年にかけてロサンゼルスを拠点に活動を始めたのですが、アメリカでは大麻に関する市場の規模が広がって、「グリーンラッシュ」と呼ばれるほど大きな注目を集めていて。日本の常識は世界との間で大きな違いができてしまっていると感じました。

僕自身CBDと出会ったのは、知人を交えてバーベキューをしていたときです。僕はビールを飲みつつタバコを吸っていたんですが、アメリカ人の知人に「いつまでアルコールやタバコをやっているの。身体に悪いよ」と言われ、ヘンプの魅力を教えてもらったんです。アメリカでは「ヘンプは安全で健康にいいもの」という考え方が広がっていました。

彼らはCBDをコーヒーに入れたり、サプリメントのように摂取したりしていました。アメリカは日本と違って国民皆保険制度がありませんから、医療費が高額です。そのために健康意識が高く、体に良いものを積極的に取り入れようとするんです。

─── 大麻というと、危険なイメージがありますが、いわゆる違法の“大麻”とCBDはどう違うのでしょうか。

堀金:いわゆる麻薬として知られる大麻は、主にヘンプの花や葉から抽出されるTHCという成分ですが、CBDはヘンプの茎から抽出される成分で、依存性や精神作用がありません。天然成分で、副作用もほとんどないとされています。安全にリラックス効果を体感している人も多く、アメリカでは多くの人が日常的に使用しています。寝付きの悪い人は眠る前に摂取したり、緊張する場面で口に含んだりするんです。

堀金:ヨーロッパでも主要都市のメインストリートにはCBDのショップが並んでいます。アジアでも法律が改正され、CBD製品が広く使われるようになりました。海外では、すでにCBDが日常に溶け込んでいるんです。

───日本では、CBDに対してまだまだネガティブなイメージがありますね。

堀金:ええ。「ヘンプはドラッグだから、CBDは危険だ」という偏見もあります。でも、CBDには違法性はありませんし、体にも安全であることが科学的に証明されてきています。人間には、エンド・カンナビノイド・システム(ECS)という身体を調節する機能があります。痛みや食欲、免疫、感情制御、運動機能などの機能がそれに含まれているんですが、CBDはECSの本来の働きを助ける役割があり、自然に体のコンディションが整うと言われています。僕自身も、疲れたときや眠る前、二日酔いのときなどに使っています。

日本は「ストレス大国」と言われていて、さらにコロナ禍によって閉塞感が強まっています。僕も海外で過ごしてから日本に帰ると、ギスギスした空気を感じることがあります。そんな日本で、安全で体に優しいCBDを使うカルチャーが根付けば、もっと多くの人がリラックスして、より良いパフォーマンスを発揮できる状態で毎日を過ごせるのではないか。そう考えて、CBDブランドを立ち上げました。

体に優しく安全な商品を作るため、原材料の栽培から携わった

─── CBDAYSの製品に使用されている原材料には、どのようなこだわりがありますか。

堀金:やはり、第一に安全性です。日本ではヘンプの取り扱いに関して、大麻取締法によって細かく定められています。ヘンプの葉、花、枝の部位の使用は禁じられており、成熟した茎と種からの抽出だけが認められているんですね。

CBDAYSはアメリカのオレゴン州にあるヘンプ農場と提携して、原材料の栽培から携わっています。ここで収穫したものから丁寧に葉を削ぎ落とし、茎だけにします。そして、モンタナ州やミネソタ州にある提携工場でCBDアイソレート(粉末)を抽出します。もちろん工場の選定にも細心の注意を払い、米国内でも屈指の技術と生産量を誇る工場にお願いしました。

堀金:このようにトレーサビリティを徹底して安全性を確保しているところが一番のこだわりですね。こういった取り組みが評価されて、CBDロールオンオイルは「COSMOS Organic認証」、CBDボディバームは「COSMOS Natural認証」を取得し、CBDドロップオイルは「有機JAS」格付け品になりました。認証の取得にあたり、かなり厳しい基準をクリアしています。

めているんです。そのため、一般的なCBD製品に比べると約3倍の量のヘンプが必要となるのですが、多くの人に純度の高いCBDを使ってみていただきたいので、コストが上がっても高品質、高純度にはこだわり続けます。

─── 製品の開発過程で苦労された点はありますか。

堀金:オイルの風味を開発するところですね。海外のCBD製品は、いわゆる大味なんですよ。苦味があったり、草のような味がしたり。フレーバーがついていたとしても、レモンやオレンジの柑橘類だけ。でも、日本人は繊細な味を好みますから、美味しく飲めるものを作りたいと思いまして。この部分はだいぶ試行錯誤しましたね。

ドロップオイル「DEEP SILENCE」ではネロリとローマンカモミール。「POSITIVE FLOW」はすだちとライム。「EROTIC POETRY」はカカオとイランイランというように、繊細で深みのある味わいにしました。もちろん、これらの香り自体にもリラックス効果があります。お陰さまで、多くの方からご好評をいただいています。

─── CBD製品には国内産の椿油や徳島県産のすだちなどが使用されていたり、新製品のCBD配合のチョコレートでは久遠チョコレート(※)との商品開発をしていたりと、サスティナビリティにも貢献しているそうですね。

堀金:サスティナビリティに対する意識は、商品開発に協力してくださったブランドプロデューサーの柴田陽子さんと、プロダクトプロデューサーの「シンシア・ガーデン」代表の杉谷恵美さんの理念に影響を受けた部分が大きいです。僕自身も循環型社会に貢献できるものを広めていきたいと考えていたので、サスティナブルな商品の開発を目指すことで意見が一致しました。

そこで、僕の故郷である徳島県がすだちの名産地だということに目を付けたんです。日本で生産されるすだちの9割以上が徳島産なんですよ。徳島の特産物を僕らの製品とともに多くの人に広められたら、地元にも貢献できますし、素晴らしいなと。

一般的にすだちを加工する際、果汁だけが使われて、皮はほとんど廃棄されているんです。このすだちの皮を使って精油を作れないだろうか……と考えました。専門家に相談して、試験的にすだちのオイルを作っていただいたところ、とても香りのいいオイルができあがったんです。

堀金:同じくCBDAYSの製品に使っている椿オイルも、佐賀県の唐津・加唐島(かからしま)に自生している椿の木から作っています。1つずつ丁寧に実を収穫して、じっくりと天日干しして、島の農家さんたちの手作業で搾油しているんです。「コールドプレス」という、蒸さずに油を搾り取る手法で作っていますので、栄養価が破壊されず、肌にいいオレイン酸が豊富なオイルが出来上がります。

ちなみに、商品に使う容器はガラス瓶にするなど、できる限り再生可能なものにしているんですよ。箱やチューブもみんな再生可能な素材を使っています。

※久遠チョコレート:全国38拠点28店舗(2020年現在)を展開するチョコレートブランド。障がいのある方や子育て中の女性、社会の中で悩みを抱える若者など、多様な人々の雇用促進と賃金向上、地域活性化を中心に、SDGsの課題の達成に取り組んでいる。

CBDは、ポジティブな気持ちに切り替えるスイッチ

─── 「自分の気持ちは自分でつくる」というコンセプトに込められた思いについて教えてください。

堀金:先ほども触れましたが、日本はストレス大国だと言われています。さらにコロナ禍も重なり、世の中全体の気分がどんよりと落ち込んだのを感じました。そういった中で、自分の気持ちを自分でコントロールして過ごすことは、すごく大事だと思いまして。何らかのスイッチによって、自分の気持ちを切り替える。気持ちをつくっていく。これができれば、どんなときでも、何があっても、乗り越えていけるんじゃないかと思うんです。

リラックスしたいとき、イライラして眠れないとき、大事な人と過ごすとき、さまざまなシーンで気軽にCBDを取り入れていただけると、より質の高い時間を過ごすのを助けてくれるのではないかと。CBDが、皆さんの気持ちを切り替えるスイッチになってくれるといいなと思いますね。